怪しい投資話を見つけてはネットウォッチするのが趣味になってきました。今回はエクスカシーファームというモノです。公式サイトには説明が無かったため、Google Driveに上がっている資料や各種アフィリエイト系のサイトでの情報を元に記載をしていきます。
※出口戦略周りについては、同様スキームのマリンベイの方でまとめてみました。
どんなスキーム?
ざっくり言うと、胴元に手数料を支払い循環取引を行うスキームです。
- 抽選に参加する
- 当選した場合:チケットを消費(胴元への手数料支払い)、キャラクターの持ち主に対価を払いキャラクターが購入できる
落選した場合:1に戻る - N日後にキャラクターをプレミアム(胴元が指定)が付いた価格で売れる
例えばユニコーンと呼ばれる動物は以下の値動きをするようです(ドル建て)。900ドルで買った人は、1,080ドルで売れるので、180ドルの儲けが出る、という仕組みですね。
ユニコーンの値幅は900-3,000ドルとされていて、3,000ドルになると分割する、と言うことになっています。キャラクターが分割され、複数人に売却できるようです。
このスキーム、どこが破綻している?
パッと見ただけでは、このスキーム成り立つような印象を受けますよね。購入したら必ず売却出来るので、購入したい人が必ずいるようにも思えます。ところがそうはいかなくなるので、時間を追って何が起きるか考えてみましょう。
シミュレーション
ユニコーンを上記の表に基づいて、売買をしていくシミュレーションをしていきたいと思います。胴元の手数料は、1枚0.1ドルのチケットを20-100枚使うとのことで、一番安い20枚として2ドル換算してみました。
ユニコーンをAさんが売りに出し、B-Eさんが購入し、25%の確率でBさんが当選しました。
7回目の取引で、場のユニコーンが増えましたね(正確には違う動物に分割されるのかもしれませんが、原理は一緒のため割愛)
さらに抽選は、ユニコーンが3匹になったことで、当選確率25%→75%と3倍に上がっていることが分かります。
ここまで見てきて以下の2点が分かりました。
- 市場に流れる現金の総和は増えていない(むしろ胴元に払う分、減っている)
- ユニコーンは市場に増えるので確率は上がり、ユニコーンの価値が希薄化する
実際には、市場に5人しかいないわけではないので、もっともっと緩やかに動物の価値の希薄化は進むことでしょう。さらに抽選により、取引回数を大幅に制限して、これもまた動物の価値の希薄化を遅らせています。
しかし、これをずっと続けていくと、どうなるでしょうか?
10,000人と100ユニコーンから開始したとして、「7回取引で3倍にユニコーンが増えること」を10回やったとすると、5,900,000ユニコーンを越えちゃうんですよねw ざっくり1ユニコーン 10万円とすると5,900億円分ですね!一人平均30万円で参加していたとしたら、200万ユーザーが必要ですね。
はい、そういうわけでいつか「ユニコーンの価値の合計>ユーザーが持っている現金の合計」となる日が来ますね。そうなると「売りたいが、売る先が無い」という事態が来ます。
じゃあどうすればいい?
「現金の総和を増やし」かつ「ユニコーンの価値を保つ(=売れる状態にする)」ための唯一の解があります。それは、「新規加入者が市場に入り続ける」こと、言い換えれば「無限に新規加入者が参加する連鎖講」すなわち「ネズミ講」と言うことですねw 新規加入者とお金が市場の中に入り続ける限りはこのスキームは成り立つでしょう。ただし、日本では無限連鎖講は法律で禁止されているのでおすすめできませんが…
結論
このスキームにおいて、新規加入者によるプレイヤーの増加スピードと市場の動物の増加スピードが見合わなくなった時点から、当選確率が徐々に上がっていくはずです。その後、売却したいのに売れない、という事態が訪れるでしょう。そうなると手元に残るのは無意味な動物のトークン画像ですね…。
またもしも僕が悪意ある詐欺師でこの仕組みの管理者だったとしたら、無尽蔵にトークンを作って流通させられるので、トークンを市場にバラまいてドルを回収し、どこかの時点でシステムをクローズさせる手法を取るでしょう。まぁそんなことをしなくても、手数料で儲かるので傍観していてもいいかもしれないですけどね。